サステナビリティ

【サスティナブルシティの事例】2050年までのニューヨークの10の施策

 

サスティナブルシティと聞いて、どの都市が思い浮かぶでしょうか?

 

実は、世界の中心地であるニューヨーク市は、2007年から、サステナブルな都市にする戦略を発表しており、サステナ都市としては先進的であることをご存じでしたでしょうか。

2019年に、「OneNYC2050 - Building a strong and fair city-」という政策を打ち出しており、サステナシティへの変革に向けて、2050年までの長期戦略を打ち出しています。

その戦略は、PDFで332ページにものぼります。それぞれ戦略のカテゴリーがあり、8つの冊子にて戦略ごとにまとめられている、かなり綿密に練られた政策となっています。

 

2050年に向けて、具体的に動いているというところで、日本の都市づくりにおいても、おおいに真似できる点があるのではないでしょうか。

今、ニューヨークを見ることで、世界や日本の未来図が見えてくるかもしれません。

 

【サスティナブルシティの事例】2050年までのニューヨークの10の施策

 

本記事では、OneNYC2050の10個の政策の柱について簡単にまとめて解説したいと思います。

 

僕は、公認会計士として、ニューヨークへ赴任しており、ニューヨークのサステナブルな街への変化の様子を感じています。

そのあたりの体験も混ぜて解説できればと思います。

出典:OneNYC-2050-Full-Report-1.3.pdf (netdna-ssl.com)

 

2050年までのニューヨークの10の施策

  1. 2050年までに炭素排出量ゼロ
  2. 気候変動対策の模範都市となる
  3. マンハッタン中心部について自動車・トラックへの通行料の付加
  4. 道路や区画整備を進める
  5. ヘルスケアの保障
  6. ニューヨークIDの拡大
  7. 労働者のサポート
  8. テナントの強制立ち退きの保護
  9. 財政面の安定性の確保
  10. 合成麻酔薬の使用禁止

 

2050年までに炭素排出量ゼロ

2050年までに、炭素排出量ネットゼロ、つまり、カーボンニュートラルの達成という政策です。

まさに、昨今の世界の流れにのっており、さらに言うと、2014年から脱炭素目標を具体的に掲げ、行動しているので世界の流れをつくっている都市といえます。

脱炭素は、冷暖房などを含む建物の炭素排出量削減、100%クリーン電気の使用を推進、その他、脱炭素のための仕事づくりといったことを整備していくようです。

 

気候変動対策の模範都市となる

脱炭素と重なる部分もありますが、気候変動対策についての模範となる都市となることを掲げています。

例えば、以下があげられています。

  • 不要なプラスチック製品を購入しない
  • 加工肉食品、牛肉の購入量を半分とする
  • 2040年までに、カーボンニュートラルな交通機関とする
  • リサイクルの推進

 

この政策の背景を理解するため、炭素排出の原因について、こちらの記事をご参考ください。

【まとめ】脱炭素社会について2つの数値で簡単に解説:510億トン→ゼロ!

 

実際、マンハッタンを見ていますと、青色のClean Energyと書かれたバスを本当によく見ます。

これは、Renewable natural gasを燃料としており、環境にやさしいバスとなっています。

 

マンハッタン中心部について自動車・トラックへの通行料の付加

マンハッタンの中心部を自動車やトラックが通る際には、通行料を付加するという施策です。

これは、不要な、自動車やトラックの使用を抑えることで、マンハッタンの交通混雑を緩和するだけでなく、環境にも優しい政策となります。

このために、バスのサービスを改善していく、ということを掲げています。

具体的には、バスレーンの整備・拡大です。

実際に、マンハッタンを見ていると、バス優先車線があり、基本的に、乗用車は通ってはいけないので、バスに乗ればスムーズに目的地まで達することだができます。

一方で、乗用車に乗ると渋滞するし、将来は交通量がかかる、というわけです。

 

道路や区画整備を進める

人々がより快適に街の生活を送ることができるように、道路や区画整備を進めることを政策としています。

例えば、以下のものです。

  • 歩行者優先ゾーンの設置
  • 公園の増設
  • 街の安全性向上や、混雑の緩和
  • その結果としての空気の改善

 

正直、現状のマンハッタンは、人や車であふれており、また、電動自転車がとんでもないスピードで走っており、歩行者や子どもには、必ずしも安全な街とはいえないと肌で感じています。

なので、この政策は、街で生活する上では、基本的ですが、重要な政策だと思います。

 

ヘルスケアの保障

支払い能力や、移民ステータスに関係なく、すべてのニューヨーク市民に、ヘルスケアを保障する政策です。

これは、海外であるがゆえに、でてくることかもしれませんが、貧富の差が激しく、また、移民も多い街である、ニューヨークにとっては、健康面が保障されていることは、人々の生活にとって重要です。

 

ニューヨークIDの拡大

ニューヨーク市民としてのIDを拡大させるという政策です。

これも海外が故かもしれませんが、低所得者や移民のため、IDを付与し、不要な手数料を下げていく、という政策です。

 

労働者のサポート

労働者のサポートを進めるという政策です。

公正な賃金体制の整備、退職金やその他の社会保障体制(ベネフィット)の整備を進めることなどです。

 

テナントの強制立ち退きの保護

建物のオーナーから、強制的に立ち退きを命じられる、ということに対して、バックアップ体制を整える政策です。

借り手よりオーナーのほうが立場が強い、ということから発生している問題といえます。

日本では、借り手の方が、立場が強い、つまり、借り手が保護されている、といえます。

 

財政面の安定性の確保

投資計画通りの予算で運営し、効率性を追求することで、ニューヨークの財政面での安定性を確保することも柱として掲げています。

これは、他の政策の根本的な部分にかかわるので、理想を追い求めるだけでなく、現実的な予算面もカバーされています。

 

合成麻酔薬の使用禁止

合成麻酔薬に変わるサポート体制を整えていくという政策です。

 

まとめ

ニューヨーク市の2050年までの政策の具体性を感じ、都市は、つくるものだ、ということを感じました。

日本でも、長期ビジョンをもって、都市の形成ができていけば、よりよい社会になるのかな、と思います。

 

海外特有の項目もありますが、環境に関する政策は、日本にも共通のことだと思います。

ニューヨークを見ることで、世界の流れがわかるかもしれません。

 

地球環境問題については、こちらの記事も合わせてご覧ください。

ニューヨーク市が本気で取り組む背景がよく理解できると思います。

【まとめ】地球温暖化による地球への5つの影響、4つの暮らしへの影響

 

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