ROICツリーという経営用語を聞いた方もいるはずです。
ROICを調べていると、ROICツリーにたどり着いた方もいるかもしれません。
本記事では、ROICツリーについて有名なオムロンの事例を参考としながら詳細をわかりやすく解説しようと思います!
なお、ROICそのものの計算式や趣旨については、こちらの記事をご覧ください。
この記事におすすめの方
- ROICツリーについて知りたい方
- 実務上、ROICツリーの導入を検討している方
- ROICツリーの事例を知りたい方
- B/S経営や資本収益性を意識した経営を学んでいる方
私は、公認会計士として企業価値向上をテーマとして、ESGに関するコンサルティング業務を行っています。
ROICやROICツリーというのは、企業価値向上のために重要なテーマとなり、この記事を参考としてみなさまが少しでもROICについて知っていただければと思います。
【詳細解説】ROICツリーとは?オムロンの事例を参考に
ROICツリーとは?
- ROICツリーとは、ずばりROICを構成する木(ツリー)のことを指します。
- その目的は、ROICを改善施策を現場レベルのKPIに結び付けること
百聞は一見に如かずということで、これがオムロンのROICツリーです。
ROICツリーにより最終的にやりたいことは、ROICの改善を行うことです。
ROICの改善となると、テーマが大きすぎ、企業の現場では???となってしまいます。
そこで、ROICをその構成要素に分解し、現場の活動や目標・KPIにつなげることをするためにROICツリーというもの生まれました。
STEP1 ROICの計算式を定義する
STEP2 ROICをB/SやP/Lに紐付く構成要素に分解する
STEP3 各構成要素を改善するための指標(ドライバー)を設ける
STEP4 各構成要素の内、重要なものは何かを検討する
STEP5 具体的な目標設定をする
こんな感じで検討されます。
ROICツリーのオムロンにおける事例
先ほどのSTEPをオムロンの事例にあてはめると以下のようになります。
STEP1とSTEP2:右から2番目のROSと投下資本回転率、ということとなります。B/SやP/Lと直接紐付いていない例となっていますが、普通に営業利益、棚卸資産、など各科目ベースでOKです。
STEP3:右から3番目の改善ドライバーのことですね。
STEP4:左から2番目のKPIのことですね。
STEP5:左から2番目のKPIに対して、それぞれ具体的な数値目標を設定していきます。
実はオムロンのROICツリーは特殊なことが1つあります。
それは通常のROICツリーとは、「逆」ということです。
ROIC逆ツリーと呼ばれていたりします。
何が逆かというと、普通は、左側にROICがきて、一番右にKPIがきます。
オムロンは、あえて、左側にKPIを設けました。
それは、KPIが現場レベルでは染みついた考え方であり、あくまで現場視点でツリーを作成させていることを表すためです。
現場としては、KPIから木を登っていくと、最終的に自分たちの活動がどのようにROICの改善に貢献しているのかがわかる、というのがROIC逆ツリーの特徴です。
この発想は面白いですよね。
その現場の努力もあり、下記の通りオムロンは高いROICの水準を維持しています。
一般的に、製造業の場合、10%を超えていると高い水準音ROICであると考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ROICツリーとは、ROICツリーの効果について実感できたのではないかと思います。