最近、脱炭素社会、カーボンニュートラルという言葉を耳にすることが増えたとおもいます。
脱炭素社会って何なの?
具体的には、どういうことを指すの?
という疑問がある方や、もう少し踏み込んで、自動車排気ガスや工場の煙の話しでしょっていうこともご存じの方もいると思います。
本記事では、脱炭素社会について、簡単に、わかりやすく解説するのと、さらに踏み込んで、脱炭素社会に向けた具体的な数値目標や、あまり知られていない意外な炭素排出原因について、深く解説しようと思います。
脱炭素社会を目指すために、第一歩として、その原因や目指すべき目標の理解の一助になればと思います。
脱炭素社会を2つのキーとなる数値で解説(510億トン→ゼロ)
僕は、地球環境を守るため、社会に影響を与えるべく動いている公認会計士です。
公認会計士と脱炭素って関係がないとも思えますが、結構、関連していたりもします。
本記事では、マイクロソフトの創業者であり、世界一の大富豪であるビルゲイツの最新の本である「How to avoid a climate disaster」から引用しながら解説していきます!
脱炭素社会とは?
脱炭素社会、カーボンニュートラルともに、同じ意味です。
文字通り、社会から排出される炭素が無くなる、ということを指します。
無くなる、というのは、排出はされるけど、吸収される量がイコールになることを指すので、必ずしも全く炭素がでない社会を目指す、というわけではないです。
例えば、人間の呼吸により二酸化炭素が排出される一方で、植物が光合成により、二酸化炭素を吸収する、ということは多くの方がご存じかと思います。
この例でいうと、呼吸で出た二酸化炭素と、植物が吸収した二酸化炭素がイコールとなることで、脱炭素達成、ということとなります。
かたい言葉で表現すると「炭素排出量と炭素吸収量がイコールの社会」のことを脱炭素社会と呼びます。
なお、ここでいう炭素とは、二酸化炭素だけでなく、メタン、一酸化炭素、フロンなど、地球温暖化の原因となる温室効果ガス全般のことが差されています。
炭素排出量の現状である510億トンをゼロに
現状は、年間で、「510億トン」という炭素が排出されているということが、ビルゲイツの最新の本である「How to avoid a climate disaster」にて明らかにされています(*1)。
脱炭素社会を目指すというのは、510億トンをゼロとする、という非常にシンプルな目標ということとなります。
炭素排出原因
炭素排出の原因とは何なのか?という点について解説しますが、これは、つまり、510億トンの内訳が、まさに原因の説明となります。
<炭素排出原因>(*1)
- モノづくり:31%
- 発電:27%
- 農業・畜産業:19%
- 自動車などの移動手段:16%
- 冷暖房、冷蔵庫:7%
(1)モノづくり:31%
一番大きなポーションを占めています。セメント、コンクリート、鉄、プラスチックなどを作るのと、使うことで炭素が発生します。
例えば、セメントを作るために、原料の1つである石灰岩を加熱していくのですが、セメントが誕生すると同時に石灰岩に含まれる成分が、二酸化炭素も生んでしまうこととなります。
近年、世界の都市の高層化が進んでいることより、このような素材の需要が大きくなり、今後もより炭素排出量が増える可能性があります。
(2)発電:27%
多くの方が思い浮かぶと思います。
化石燃料を燃やすこと発電する火力発電を代表として、炭素が排出されます。
(3)農業・畜産業:19%
僕は意外に思いましたが、農業・畜産業からも多くの炭素が排出されます。
農業では、肥料から炭素が排出されます。これは、人工の肥料には多くの炭素が含まれており、農業のために肥料を使うが、植物が吸いきれなかった炭素が、地上に放出される、というメカニズムです。
畜産業では、例えば、牛や豚のゲップに含まれるメタンという温室効果ガスが、原因となっています。
ゲップというと、本当か、と思いますが、世界中の牛や豚の数、また、メタンは、二酸化炭素の80倍の温室効果があるといわれているので、バカになりません。
また、森林伐採もこのカテゴリーです。
森林伐採の温暖化への意味は、森林伐採の結果、土が掘り起こされ、地中の炭素が排出されることが原因です。
森林を伐採する結果、光合成量が減る、ということを想像される方もいるかと思いますが、それだけではないのです。
(4)自動車などの移動手段:16%
4番目なんですね、自動車などの移動手段は。
自動車、船、飛行機など、ガソリンを使用する移動手段は、炭素排出で思い浮かびやすいと思います。
特に、今は、自動車が電気自動車に変わるという時代の流れがあると思いますが、この16%の幾分かに貢献できるというわけです。
(5)冷暖房、冷蔵庫:7%
エアコンや、冷蔵庫の使用により、炭素が排出されます。
世界の目標は、2050年までに、炭素排出量「ゼロ」
2015年のパリ協定(COP21)、2021年の英国グラスゴーでのCOP26など、世界条約により、各国が、炭素排出量をゼロとする動きが、急加速で進んでいます。
時間軸はいろいろですが、1つの大きな目安であり、覚えておくべきことが、「2050年」までに炭素排出量を「ゼロ」とする、ということです。
2050年です。
遠いようで、近い未来だと思います。
日本でも、環境省において、2050年にカーボンニュートラル実現、という目標が掲げられています。
詳しくは、リンクを貼っておきます。
最後に:
地球を守るためには、脱炭素社会、というのが1つのキーワードです。
ぜひ、キーワードを理解をして、次のアクションについて考えていってもらいたいです。
また、地球への影響、暮らしへの影響まとめについてはこちらをご参考ください。
【まとめ】地球温暖化による地球への5つの影響、4つの暮らしへの影響
*1 Bill Gates 「How to avoid a climate disaster」(KNOPF) より和訳