ESG経営

【わかりやすい解説】企業の最適資本構成の計算方法:MM理論を用いて

こんにちは、皆さん。今日は企業経営の中心的な課題である、最適資本構成の計算方法について解説します。

 

結論としては、最適資本構成とは、資本コストを最小化するような借入資金と自己資本のバランスを指します。

そもそもの最適資本構成とは何か、という点については、こちらの記事をご参考ください。

【詳細解説】企業の最適資本構成とは?論文に基づく解説

 

この資本コストを最小化する構成を修正MM理論を用いて算定していくこととなります。

 

資本コストは、通常、WACC(加重平均資本コスト)で測られますが、WACCの詳細についてはこちらの記事をご確認ください。

【3分でわかる】WACCとは?その計算式をわかりやすく解説

 

 

【わかりやすい解説】企業の最適資本構成の計算方法:MM理論を用いて

 

この最適資本構成を理解し計算できるようになると、企業の財務戦略が一段と効果的になります。

ですが、実務上、最適資本構成を常に意識しながら経営している企業はごく少数の優秀な企業といえるでしょう。

背景にはそもそものファイナンス理論の理解が得られていないこと、企業内人材の限定などがあげられます。

 

 

MM理論とは

モジリアーノ-ミラーの定理は、経済学者のフランコ・モジリアーノとミートン・ミラーが1958年に発表した理論で、通常MM理論(Modigliani-Miller theorem)と呼ばれます。

 

この理論は、企業の資本構成がその企業価値に影響を与えないという理論で、完全市場(証券取引にかかる取引コストがない、課税がない、倒産リスクがないなど)であれば、企業の価値はその資産と生み出す現金流によって決まると述べています。

 

ただし、現実の市場では税制や破産リスクなどが存在するため、これらを考慮に入れた修正版のMM理論も存在します。修正版では、借入による利息が税額を減らすなど、企業の資本構成が企業価値に影響を与えることを認めています。

 

メモ

借入金の税負担軽減効果について

企業は利益を出すとその一部を企業税として納める必要があります。しかし、借入金の利息は経費として認められ、税引前利益を減少させることができます。つまり、借入を増やすことで利息費用が増え、その結果として課税対象となる利益が減少します。これが「借入が多いほど税負担は軽減されます」と述べた理由です。

これはモジリアーノ-ミラーの定理の一部として語られることが多いです。定理の元々の形は「完全市場」を想定しており、税制や破産コストなどの現実的な要素は無視されています。しかし、実際の経済にはこれらの要素が存在するため、定理を適用する際にはこれらを考慮することが重要です。

 

MM理論の最適資本構成への適用

 

前述のとおり、MM理論によると、税を無視した場合、企業の資本構成はその価値に影響を与えません。しかし現実には、企業税率が存在するため、借入が多いほど税負担は軽減されます。これを用いた理論が修正MM理論と呼ばれます。

これにより、一定のレベルまで借入を増やすとWACCが低下し、それ以上借入を増やすとWACCが増加する、というU字型の関係が生まれます。

以上の理論に基づいて、WACCが最小となる資本構成を探すことが最適資本構成の計算方法です。具体的な数値は企業の具体的な状況によりますが、この考え方はどの企業にも適用可能です。

 

まとめ

企業の最適資本構成を理解することは、投資家にとっても有益です。それはなぜかと言うと、資本構成は企業のリスクとリターンを示すため、投資判断の重要な要素となるからです。

 

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