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【3分でわかる】ダブルマテリアリティとは?ダイナミックマテリアリティとは?サスティナビリティにおける新たな視点

 

情報開示においては、過去からマテリアリティという考え方があります。
そして、サスティナビリティの観点から、新しいマテリアリティの考え方がでてきました。

 

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【3分でわかる】ダブルマテリアリティとは?ダイナミックマテリアリティとは?サスティナビリティにおける新たな視点

 

 

 

僕は、公認会計士で、企業情報の開示についてのプロフェッショナルで、今は環境問題の解決のために活動しています。
サスティナビリティの観点からマテリアリティの概念が変わってきていますので、改めて整理ました。

 

従来のマテリアリティ(Traditional Materiality)とは?

 

投資家に対して、どのような情報が開示されるべきで、どのような情報が開示される必要がないか、を区別するために使われている概念。
従来の文脈では、以下のことが重視されていました。

・企業のB/SやP/Lに対するインパクト

 

つまり、売上や利益の情報を示す経営成績、資産や負債の情報を示す財政状態に対して、どのようなインパクトがあるか、という文脈で語られていたのが、従来のマテリアリティとなります。

アメリカのSECでは、「A matter is material if there is a substantial likelihood that a reasonable person would consider it important.」(US Securities and Exchange Commision, Staff Accounting Bulletin No.99 - Materiality)と規定されています。
つまり、マテリルな項目(マテリアリティを上回る項目)とは、合理的な財務諸表利用者が重要だ、と考える項目、と規定しています。

平たくいうと、投資家が、これは重要でしょ!と思うような項目のことを指します。

 

ただ、必ずしも量的な数値を持っているものではなく、量と質と両方を重視する必要があります。

例えば、訴訟がある状況で、金額的インパクトがわからないため、重要ではない、と捉えるのではなく、訴訟の内容・性質から、重要性を考える必要がある、などです。

 

ダブルマテリアリティ(Double Materiality)とは?

サスティナビリティにおけるマテリアリティの考え方において、ダブルマテリアリティという考え方があります。これは、欧州の気候変動関連情報に対するガイドラインを策定しているThe European Commisionがうたっている考え方です。

ダブルマテリアリティとは何か、想定利用者、開示内容の3つの軸から解説します。

  1. ダブルマテリアリティとは何か
  2. 想定利用者
  3. 開示内容

 

1.ダブルマテリアリティとは何か

 

2つの観点からマテリアリティを考えるということですが、2つの観点とは以下のことです。

  1. 企業価値への影響の観点。つまり、財務的重要性=従来のマテリアリティと同じ。
  2. 企業活動が、環境、社会、人々へ与える影響の観点。

 

どういうことかというと、気候変動に絞って説明するとよりわかりやくすなります。

 

  1. 気候変動が、企業価値へ与える影響 : 気候変動→企業
  2. 企業が、気候変動へ与える影響 : 気候変動←企業

 

このように、矢印の向きが真逆の話しとなります。

1つ目は、気候変動が、企業価値へ与える影響、つまり、企業のリスクとチャンスにどのような影響を与えるのか、ということを表しています。

2つ目は、企業の活動の結果が、どのような気候変動への影響を与えるのか、ということを表しています。

 

2.想定利用者

 

さらに踏み込むと、情報の想定利用者も異なってきます。

  1. 投資家
  2. 政府や社会、消費者、従業員、投資家

 

1つ目については、従来通り、投資家が関心がある項目です。

2つ目は、もっと広いです。政府の政策に影響を与えますし、社会的関心も生む。そして、企業の製品を消費する消費者も関心があるでしょうし、従業員にも影響を与えます。

 

開示内容

 

開示内容も変わってきます。

 

  1. 経営成績や財政状態の理解のために有用な情報を開示
  2. 企業活動が、気候変動へ与える影響を開示

 

 

ダイナミックマテリアリティとは?

 

サスティナビリティにおけるマテリアリティとして、もう1つ、ダイナミックマテリアリティという考え方があります。

 

ダイナミックマテリアリティ:マテリアリティは時代とともに変わりうる動的なもの

 

サスティナビリティにおけるマテリアリティは、時代とともに変わりうる、という考え方です。

つまり、今、重要と考えられている情報が、明日には重要でなくなる可能性があり、逆もまたしかり、ということです。

 

社会問題の重要性が時代とともに変わることで、それに伴う財務諸表へのインパクトもかわってくるということです。

例えば、プラスチック製品による海洋汚染問題への社会的関心がますます高まった場合、企業が利用する、もしくは販売するプラスチック製品の情報価値は高くなる、といったものです。

そうすると、企業活動も変わってきますよね。

海洋汚染問題を解決するため、自分たちのプラスチック利用量と販売量を定量化し、減らすべく活動する。

そうすると、投資家からの価値が高まり、企業価値が高まる。そして、企業の活動が海洋汚染問題へ与える影響が小さくなる、ということが生まれます。

 

ダブルマテリアリティ・ダイナミックマテリアリティのメリット

 

ダブルマテリアリティの考え方によって、企業活動とサスティナビリティを相互に考えることができます。

その結果、企業のメリットは、長期的価値形成の観点から、意思決定をすることができることとなります。

そして、ダイナミックマテリアリティを取り入れることで、サスティナビリティの観点から重要だ、ということは常に見直され、アップデートされる必要がある、という視点を取り入れることができます。

 

こちらの本はサステナビリティについてこれから学ぶ方に非常におすすめの本となっています。
ESGに関する仕事をされている方など、1冊読んで損はない本です。

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