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【解説】SASB基準における産業分け方法:SICSとは?

 

本記事では、SASB基準の概要について理解するため、SASB基準で使用されている各産業のカテゴリー分け方法について、詳しく解説しています。

 

この記事におススメの方

  • SASB基準について知りたい
  • SASB基準の産業について理解したい
  • SICSとは何か
  • 具体的なSASB基準を利用した開示例を知りたい

 

 

僕は、公認会計士として、環境問題の解決を図るため活動しています。

非財務情報の開示については、公認会計士の活躍の場も増えてきており、SASB基準への皆様の理解が進めばと思います。

 

非財務情報の開示については合わせてこちらの記事もご参考ください。

【まとめ】非財務情報とは?ニーズの背景とESG経営の関係を詳細解説

 

【解説】SASB基準における産業分け方法:SICSとは?

 

 

SASB基準では、産業を従来のようなカテゴリー分けの切り口ではなく、新しい切り口で分けています。

 

SUSTAINABLE INDUSTRY CLASIFICATION SYSTEM(SICS)とは

 

SASB基準では、SUSTAINABLE INDUSTRY CLASIFICATION SYSTEM(SICS)と呼ばれる方法で産業を区切っています。

これは、サスティナビリティな観点からリスクと機会を考え、企業をカテゴリー分けした方法です。

従来は、Global Industry Classification System(GICS)やBloomberg Industry Clasification System(BICS)などがあるのですが、これは、各企業の収益源、つまり、何を販売しているか、により、カテゴリー分けをしているものです。

 

例えば、GICSでは、テクノロジーハードウェア系の会社については、次のような産業レベルでのカテゴリー分けがあります。

  • コミュニケーション機器
  • テクノロジーハードウェア
  • 電子機器

 

これは、販売している製品が異なることから違う産業カテゴリーに含まれています。

 

一方で、SASB基準のSICSにおいては、これらの3つは1つに集約され「ハードウェア」という1つの産業としてカテゴリー分けされます。

  • ハードウェア

 

サスティナビリティという観点で考えると近似した法規制下に置かれ企業活動をしていることが主な理由です。

 

 

77のインダストリー

 

サスティナビリティの観点でグループ化した結果、SICSでは、77のインダストリーを特定しました。

例えば、食品業界であれば、「Agricultural Products(農業製品)」「Meat, Poultry & Dairy(肉・乳製品)」「Processed Foods(加工食品)」「Tobacco (タバコ)」「Restaurants(レストラン)」などがあります。

 

リンクを載せておきます。

Find Your Industry - SASB

 

 

カテゴリー分けの観点

 

SICSでは、サスティナビリティな観点からリスクと機会をもとにカテゴリー分けをしていますが、具体的には、以下のような点に基づいています。

 

  • 価値創出モデル
  • サスティナビリティへのインパクト
  • サスティナビリティのイノベーションについての潜在的能力

 

同一カテゴリーの特徴

 

同一のカテゴリーに属する企業は以下の観点で似た特徴があるとされています。

 

  • イノベーションの機会
  • 規制環境
  • 使用する資源

 

1つ特筆することは、気候変動については、77のカテゴリーのうち、69のカテゴリーに影響があるとされています。

従って、気候変動は、カテゴリーを超えて、さまざまな産業に影響があり、非常に重要なテーマと位置付けられています。

 

 

各企業の開示への影響

 

各企業では、サスティナビリティに関連した開示をする際に、自分の企業が、どのインダストリーに属しているか、ということを定義したうえで、開示することが、投資家にとって有用な情報を提供することとなります。

 

「SASB参照表」として開示している企業がいくつかあります。

例えば、味の素。

味の素グループは、「加工食品業界」に属していることを前提として、以下のような観点でサスティナビリティに関する開示をしています。

 

  • 自分が属する産業を定義
  • その産業でのSASBで求められている開示指標
  • 開示書類において、どこに開示しているかをマッピング
  • 補足事項

 

具体的には、

加工食品業界において、「エネルギー管理」に関する指標として、再生可能エネルギーの使用割合をIR情報の特定の箇所で開示していることを示していました。

詳細は、リンク先でご確認ください。

 

SASB参照表|ESG・サステナビリティ|味の素グループ (ajinomoto.co.jp)

 

まとめ

 

SICSという産業分けは、新しい考え方かと思います。

ちなみに、FSA Credentialというサステイナビリティに関する資格において本記事での内容を体系的に学べます。

こちらの記事をご参考ください。

 

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