ESG経営

【まとめ】SASBスタンダードとは?ESG経営に必須の5つの視点

 

ESG経営を語るうえで、非財務情報の開示、という流れを理解することは必須となってきています。

そして、SASB、SASBスタンダードという言葉も最近よく耳にするようになりました。

 

「SASBって?SASBスタンダードって?」

「非財務情報の開示、サステナビリティの開示は具体的にはどのようなことを開示するの?」

「SASBスタンダードって開示基準の話し?経営とは関係ない?」

 

このような疑問をお持ちの方も増えてきているように思います。

 

本記事では、SASBとは何かを解説したうえで、SASBスタンダードが規定するESG経営に必須の5つの分析視点をご紹介します。

 

なお、非財務情報については、以下の記事も合わせてご覧ください。

【まとめ】非財務情報とは?ニーズの背景とESG経営の関係を詳細解説

 

【まとめ】SASBスタンダードとは?ESG経営に必須の5つの視点と合わせて解説

 

 

僕は、公認会計士として、10年間、会計監査のプロフェッショナルとして仕事をしており、今は、サステナブルな社会実現のために活動をしています。

2021年よりニューヨークに赴任しており、アメリカでのSASBに関する動きということも肌で感じております。

 

SASB スタンダードとは

SASBとは、Sasutainability Accounting Standards Board(米国サステナビリティ会計基準審議会)の略称で、2011年にアメリカを拠点に設立されたサステイナビリティに関する会計基準・開示基準をまとめている団体です。

SASBが定めた会計・開示基準が、SASB スタンダードと呼ばれています。

 

IFRSやUS-GAAPという会計基準をお聞きしたことがあると思いますが、この2つは国際的に認められた会計基準となります。

その、サステイナビリティに関する会計基準バージョンが、SASBスタンダードです。

 

SASBスタンダードが規定する、ESG経営に必須の5つの分析視点

SASBスタンダードでは、5つの開示に関する分析視点を規定しています。

 

この5つの分析視点は、SASBが、投資家に有用なものは何か、財務諸表へのインパクトはどのような項目が重要か、ということを念頭に置いたうえで、規定されました。

 

  • 環境 Environment
  • リーダーシップとガバナンス Leadership and Governance
  • ビジネスモデルとイノベーション Business Model & Innovation
  • 人的資本 Human Capital
  • 社会的資本 Social Capital

 SASB Standardsを和訳

 

逆に言うと、非財務情報というのは、上記の5つのカテゴリーに集約されるといえます。

サステナビリティ経営、ESG経営を考えるのは、上記の5つの視点を見ていけば、網羅的な検討ができていくといえます。

 

環境 Environment

まさに、環境についての視点です。

例えば、温室効果ガス排出量、大気への影響、エネルギー管理、工業排水の管理、廃棄・有害物質の管理、生態系への影響、などです。

地球温暖化への影響、気候変動への影響を考えるうえクリティカルな分析視点といえます。

 

この項目の重要性については、こちらの記事も合わせてご覧ください。

【まとめ】地球温暖化による地球への5つの影響、4つの暮らしへの影響

 

 

リーダーシップとガバナンス Leadership and Governance

企業経営における経営理念やポリシーにかかわる視点です。

ビジネス倫理、競争行為、法規制管理、リスクマネジメントなどです。

 

法規制などは、環境規定や品質管理規定もそうですが、企業が経営をするうえで、関連する法規制を適切に理解し、対応することが求められます。

法令を遵守しないことは、思わぬリスクとなり、また、一発で、企業価値を押し下げる要因となります。

 

ビジネスモデルとイノベーション Business Model & Innovation

製品デザイン・ライフサイクル管理、ビジネスモデルの柔軟性、サプライチェーンマネジメント、原材料調達の効率性、気候変動の物理的影響などです。

 

ビジネスのベーシックな部分に係るものです。

自社の製品、製品をつくるまでのプロセス、そして、その柔軟性についての視点です。

例えば、サプライチェーンマネジメントは、Afterコロナにおいて注目度が高く、また、かなりビジネスに影響をした項目です。

 

 

メモ

グローバルな世の中において、グローバル企業は、世界各地に工場や、生産拠点を持っています。

コロナの影響で、サプライチェーンの問題が発生し、具体的には、特定の拠点で生産が滞る、輸送が遅れる、ということが発生した結果、世界各地の販売へ影響が発生しました。

アメリカでは、アジアから輸送が遅れる、アメリカ国内の港では、コロナ影響による作業員不足の結果、コンテナの荷捌きが遅れる、トラックが不足する、といったことが起き、サプライチェーン問題が重要な問題となっています。

 

また、自動車産業では、半導体不足、というのも、コロナの影響もあるようです。

具体的には、コロナの影響で、リモートワークに切り替わり、コミュニケーションツールのための半導体を利用した製品の需要が高まり半導体が不足、さらに、自動車は需要が落ち込むかと予測され減産予定であったが、実際は政府の補助などによりそれほど需要は落ちず、需要が旺盛であり、半導体が不足、ということが背景にありました。

 

まさに、ESG経営の本質的部分が問われ、従来から対応ができていた企業は生き残り、そうでない企業は、淘汰されていくことが、如実に表れたのかと思います。

 

 

人的資本 Human Capital

人的資本にかかわる分析視点です。

労働慣行、従業員の健康や安全、ダイバーシティなどです。

ダイバーシティは、男女比率の話しであったりがトピックとして挙げられます。

 

社会的資本 Social Capital

人権とコミュニティの関係性、顧客プライバシー、データセキュリティ、製品品質と安全性、販売慣行や表示などです。

社会に対して、どのような価値を提供し、顧客や利害関係者の利益を保護するか、といった視点です。

 

 

まとめ

ESG経営、サステナブル経営を考えるうえで、非常に重要な5つの視点だと思います。

どれかが欠けると、企業の価値が、思わず毀損するリスクがあります。

 

おそらく、平常時はよいと思いますが、変化が発生したときに、その真価が問われ、経営の良し悪しが評価されるのかと思います。

途中で記載したコロナの事例は、まさにそうだと思います。

 

リスク管理という側面も強いですが、チャンスを見つける、という側面もおおいにあります。

ダイバーシティな企業であることは、多様なニーズに対応した製品をつくれる可能性が高くなりますし、環境規制の変化を察知し、いち早く柔軟にビジネスモデルを変革させることができればチャンスをつかむことができます。

例えば、電気自動車は、まさにその流れの一つです。

 

変化が激しい世の中において、この5つの視点は重要です。

 

ESG経営については、こちらをご覧ください。

【まとめ】ESG経営とは?最新の2つの背景から簡単に解説!

 

 

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