- WACC:株主資本コスト×投下資本に対する株主資本の割合+税引後の負債コスト×投下資本に対する有利子負債の割合
はい、以上です!
【3分でわかる】WACCとは?その計算式をわかりやすく解説
目次
僕は公認会計士で、ファイナンスに関する知識を用いて仕事をしている会計プロフェッショナルです。WACCというわかりにくいものを、知識のない方でもできるだけわかりやすく解説しました。
以下は詳細な解説です。
WACC計算式の解説
- 株主資本コスト:株主に対して支払われるコスト。株主からしたらリターン。平たく言うと、株主がいくら儲けることを期待しているか?ということ。具体的には、「配当」と「株式売却益」からなる。
- 投下資本:株主資本+有利子負債のこと。有利子負債:負債の内、借入金や社債で利息の支払いがあるもの。逆に買掛金は含まない。株主資本:平たく言うと純資産。資本金+剰余金。
- 投下資本に対する株主資本の割合:株主資本÷投下資本で計算される。
- 税引後の負債コスト:要は、支払利息×(1-税率)です。負債とは、利息を支払っている借入金や社債のことです。利息1%、税率30%であれば、1%×(1-30%)で0.7%が税引後の負債コストとなります。
- 投下資本に対する有利子負債の割合:有利子負債÷投下資本で計算される。
メモ
株主資本コストの解説。
おそらく、上記の中で、株主資本コストが最も難解な概念です。
「株主対して支払われるコスト」が何を意味するか。コストというとわかりにくさがでてくるのではないかと思います。
では、株主目線で考えましょう。
株主は投資から何を期待しているか?
「配当」と「売却益」の2つですよね。
では、これを企業側から考えると?
「配当」を支払うことと、「株価を高めること」となります。
つまり、株主資本コストとは、「株主が期待している配当と株価の値上率」のことをさします。
「株主が期待している」ということがでてきました。これが難解さを生んでいます。
目に見えないからです。
有利子負債なら、利率が明記されているのでわかりやすい。
株主の期待、というのは明記されていないのでわかりにくい。
株主が期待している配当と株価の値上率は、目に見えないものなので、特別な計算式を用いて、理論上はこうなるはずだ、という数値をだします。
その特別な計算式は、通常、CAPMと呼ばれます。
ここではその計算式は割愛します。
WACCの趣旨
では、改めてWACCとは?
WACCは、Weighted Average Cost of Capitalの略称で、加重平均資本コストと呼ばれます。
加重平均とは、前述の投下資本を、株主資本と有利子負債に分け、それぞれの構成要素に対するコストを計算し、加重平均しているためそう呼ばれます。
WACCは、「資本コスト」の算定に用いられることが多いです。
「資本コスト」とは、企業に対して出資している人に対するコストですが、出資者からすると報酬のことをさします。
では、出資者から見た時の報酬とは?株主資本であれば、配当と売却益、有利子負債であれば利息、となるわけです。
なので、資本コストの算定にWACCが用いられます。
実務上WACCはどのように算定されるか?
実務上は、WACCを算定できる外部業者に依頼するのが通常です。
なぜならWACCの中でも株主資本コストの計算が複雑だからです。
前述にCAPMという手法を用いますが、これは、通常は有料のデータベースからCAPMの計算式の構成要素の一部を持ってきて、計算されますので、自分で算定するより専門家に計算してもらったほうが早い、ということとなります。
実務上WACCはどのように使われるか?
大きく2つあります。
- 資本コストとして使う
- 会計上求められる減損テストに対して使う
資本コストとして使う
その名のとおりですが、企業価値とは、理論的には、「投下資本に対するリターン」―「資本コスト」の総和となります。
企業価値を図るための内部管理上の指標としてWACCが資本コストとして使われます。
詳しくはこちらの記事をご参考ください。
東証提言のまとめ:企業価値向上とその施策 資本コスト経営について
会計上求められる減損テストに対して使う
会計上、減損テストが求められる場合がありますが、減損テストの際に資産の時価を計算します。
その時価計算の手法の1つにディスカウント・キャッシュフロー法があります。
これは、対象の資産から生み出される将来キャッシュフローの割引現在価値を求める手法です。
その現在価値への割引の際に、WACCが使われることがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。WACCについて、基本的におさえるべきことをまとめてみました。
趣旨はともあれ、計算式になれることがよいと思うので、記事の一番上の計算式を改めてご参照下さい。