ESG経営

アメリカの生産性の源泉、日本の生産性が低いことの理由。駐在経験を踏まえ。

 アメリカ駐在で学んだこと。

★ 質はそこそこであることが生産性向上の源泉

アメリカ人の仕事は、かなり早い。ただ、質は高くない。そんな感想をいだいている今日この頃です。

でも、仕事、というか全てのことに対して、必要な機能を求める姿勢が生産性向上の源泉になっていると思いました。

日本人は、やる前に、いろんなことを想定して、こーなったらどーする、あーなったらどーする、と仮定を重ね、リスクを回避し、ユーザーの心地よさを極力高めようと努める毛質があります。そして、日本人の質が高い、というのは事実だと思います。

例えば、ネットで注文して、ボコボコの段ボールで届くが中身は無事、プラスチックのラックを頼んだら、壊れた状態で届く、などよくあることです。発想としては、段ボールが壊れてようと中身が無事なら良いでしょ、中身が壊れてるなら返品するから持ってきな、という感じです。

子ども用のトイストーリーの絵柄が書かれた絆創膏を買ったのですが、個包装されているのは良いとして、個包装を開けるのが一苦労。相当硬いノリ?で止められていて、日本みたいに、ペリペリっと簡単に開けられません。個包装を開けられた後も、絆創膏のシールみたいなのを剥がすのも固く、剥がせた瞬間、粘着面がくっつく。そして、粘着面の接着力が強いので剥がれない。そして、子どもが泣く、ということが起きたりします笑

ちょっと違う観点では、ウォルマートに行ったときに、ネンドの場所がわからなかったので、店員に聞くと、場所はわからないけど、おもちゃ売り場にあるよ、との回答。そこまでは分かるわ笑。レジも基本的に遅く長蛇の列ができますが、店員は、かわいい子どもね、シールあげるわ、と、全く急ぐ様子もありません。

日本と大違いだなーと、感じます。

これは、おそらく、客への考え方が根本的に異なっているのだと思います。つまり、日本では、お客さまは神様、ですが、アメリカでは、嫌なら他のところ行けば?違うモノ買えば?並ぶのがイヤならネットで買えば?といった考えで、自分で選択するのが、客でしょ、ということで、神様ではなく、対等な立場なのです。

で、それが最初は違和感がありましたが、今は、むしろ、世界から考えると、日本が異端児なのでは、と思ってきました。さっきの絆創膏も、結局、開けにくかろうが、使えていますし、結局、トイストーリーの絆創膏を買っています。そこに質は求めていません。そして、売り場の絆創膏の質はどれも低いので、選択の余地もありません。

一方で、日本は、一生懸命、絆創膏がどうやったら剥がれやすいか、ということを考え、新しい製品がでると、他社も右へ習えで、製品の質をあげます。結果として、質の高い製品が店頭に並ぶことになりますが、消費者は、どれを選んでも同じ、というアメリカと同じ結果となります。

これをさらに深く考えると、日本は、剥がしやすい絆創膏を考えるために残業して研究開発をし、残業して営業し、残業してマーケットに商品を並べます。そして、一年に一回とかで新製品です、といって同じサイクルを繰り返します。結果として、店頭の製品は、同じ品質なのに。

アメリカは、研究開発せず、同じ製品を売り続けているので、営業も新しい陳列も不要で、同じものを同じように売り続けます。売り場の製品の品質は同じで、トイストーリーの絆創膏が好きな消費者は、質が低かろうが、怪我はするので買います。

これって差になりますよね。何もしないのに売れる商品、一生懸命コストをかけて売れる商品。結果は、等しいのに、無駄な努力のように見えます。

では、日本製を輸出すれば良いのでは、となりますが、それも上手くいくとは限りません。そもそもそんな質の高いものを求めていないからです。絆創膏は、貼れればよい、それだけです。多少使いにくくても、貼れれば買う。剥がしやすく高い商品をもとめていないので、安いモノを買う。日本の品質が高いのは間違い無いですが、質の高さを求めないマーケットもあるわけで、そうなれば無駄な努力です。質が高いから買うに決まっている、という考え方が間違っている、というか、異文化なのが世界です。日本が特殊。

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